石の上にも3年
- 2024.10.11
皆様、お久しぶりです。院長の辻です。
当ブログを任せている青木に対して一定数の愛読者さんがいらっしゃる様子、うれしい限りです。今回は私からも近況報告などつらつらと。お目汚し失礼しますね。
当院が開業した2022年1月からもうすぐ3年目。いやはや、時間が経つのは早いですね。開業当初のブログを読み返してみたら、とっても懐かしい気持ちになりました。
今回は、開業当初から今までを少し振り返ってみよう!と思います。
開業当初は、私自身経営などとは無縁の人間でしたので、すべてが初めての経験でした。
ダイワハウスの医療部門チームや、顧問税理士・弁護士さん、銀行の皆さん、そして一緒に開業から手伝ってくれた従業員たち。みんなに助けられて、なんとかかんとか、開業に漕ぎ着けました。いつぞや青木も書いておりましたが、忙しすぎたのと緊張しっぱなしだったからか、もはやあの頃の記憶があまりありません。。
とりあえず何から手をつければ良いのかもわからない中、まず最初に決めたことは、理念でした。
『病気を診るだけでなく、人を診る』
今も、ホームページに載せております。これだけは、この先何があってもぶれないで行こう。そう心に決めて、走り出しました。その考えが生まれた背景について、敢えて少し(書き終わってから見直したら全然少しじゃなかった…求む文章力…)脱線してみます。
私も今でこそ、ある程度落ち着いて自分なりの仕事スタイルを確立できましたが、今回の開業にいたるまで、色々な医療機関にお世話になって、たくさんの先生方にご迷惑をおかけし、そして恩情を注いでいただき、今があります。その大切な時間の中で、実際のところ自身にとっての一番の先生は、『患者さんやご家族』でした。
医者になったばかりの頃は、勉強は人並みにはしたものの、初対面の他人とお話しするスキルなんてものは皆無でした。ましてや、初診外来ではその方の最もプライベートなことを、初めまして、で聞き出す必要があるのです。そういったノウハウについて、諸先輩方から直接教えてもらうことはなく(職人的な感覚ですね、背中で教わっていました)、日々どうしたらいいのか模索しながら、先輩方の診察を横目で盗み見ながら見よう見まねで外来診療のあり方を学びました。その頃は、なんとかその患者さんの病気を見つけ、治療に漕ぎ着けなければならない、という医者としての使命感に駆られて突っ走っておりました。
時に、よかれと思って患者さんの希望と相反する方針を提示してしまったり。聞き取る力がなかったゆえに、その患者さんにとって病気以上に大切なことを見落としてしまったり。患者さんやご家族から、たくさんお叱りや励ましの言葉をいただきました。そんな皆様からの言葉を糧に、話し方・考え方・関わり方を少しずつ修正し、何より患者さんご本人の視点に立って考え、よく相談するといったことを繰り返していくうちに、患者さんの闘病・人生をサポートするためには、まずは『その人を良く知らなければいけないんだ』、という、ごく当たり前のことにやっと目が向くようになっていったと思います。
とまぁ、なんだか偉そうなことを言ってしまいましたが。今現在も完璧とはほど遠いなぁ…と、日々感じています。特にここ10年ほど、訪問診療に携わるようになってから、その想いはまた強くなりました。訪問診療では、患者さんのご自宅に上がらせていただき、診察を行います。外来診療では感じることが難しい、その人の生活感や歴史、時に死生観までもが、痛いほど肌で感じられるのです。それは、医者として関わらせていただいているとはいえ、その方の根っこの部分に触れる、とても繊細かつ大切にしなければならない感覚であると思います。毎回どの患者さんに関わらせていただく際にも、医者対人というだけでなく、人対人として、そうしたとても大きな責任を感じながら、日々お仕事させていただいております。常に、他者への感謝とリスペクトを忘れず、この先も『人を診る』ことを続けていきたい、と考えるに至っております。
(さてさて。脱線もここまでいくと、もはや本題みたいになってしまいましたね。いつも通り。。)
当院の理念を固めたうえで、地域の皆さんへ開いた相談の場にしたいとの想いから、外来診療・入院診療・訪問診療と、歩いてくることができる人もできない人も、自宅で療養できる人もできない人も幅広くすくい上げることができる形にこだわり、現在の『強化型在宅支援診療所』という形を選択しました。ありがたいことに、その理念のもとにたくさんの従業員たちが集まってくださり、今に繋がっています。
外来診療については訪問診療に回りつつ私1人ですべて回すことはできないため、現在は月曜・木曜・土曜はそれぞれ他の先生に守っていただいております。今後、常勤の先生を雇い入れ、先々は訪問診療・外来診療の拡大を検討しています。
2023年10月に無事法人化も叶い、『医療法人社団 奏』となりました。
名称を『奏』とした理由についても少しだけ。患者さんと我々医療者の1対1の関係だけでなく、地域全体として様々な業種の方々にも協力いただいて、一つの輪になってその方の人生を支えていく。それはまさに、オーケストラで様々な楽器奏者が集まって一曲を演奏するように。
以前ちらっと書きましたが、私自身、学生時代はオーケストラに所属しフルートや学生指揮など携わっていたこともあって、縁のあるこの名称とさせていただきました。
そんなこんなで、やっと地盤が固まってきた、と感じ始めている今日この頃です。今後の方針としては、まずはできる限り従業員のスキルアップを図り、対外的にも情報発信・共有や業務提携を進め、1人でも多くの患者さんのお手伝いができるよう、更に地域をもり立てていける存在になっていきたいと考えております。そんな理由もあって、従業員たちには日々新しい知識を増やすため勉強を頑張ってもらっています。もしかしたら、最近院長が厳しいよ~と思われているかもしれない…でも期待を込めた愛の鞭。みんな頑張って。
相も変わらず乱文になってしまいました。が、たまには自身の理念もこうして口に出していかないと、伝わらないし薄れてしまうと思い、書いてみました。
最近は、杉並区内の介護事業所や医療機関の皆様とも連携を取ることが増えています。当院にできる範囲には限りはありますが、精一杯邁進していきますので今後とも皆様宜しくお願いします!
最後に。
長い長い夏が終わって、ちょうどいい気候はあっという間に終わり、きっとすぐに冬がやってきます。寒さに体が慣れていない時期、備えは万全にお願いしますね。乾燥はのどにも肌にも大敵。早めの保湿もお勧めです。特に呼吸器疾患があったりアレルギー体質の方は咳が出やすくなる時期でもあります。何か体調で優れないことがあれば、いつでもご相談ください!