院長のおしごと②

  • 2022.06.23

皆様こんにちは。

先日UPしたつづきです!午後のお仕事は、主に訪問診療になります。

~12時30分 訪問診療へ出発~

午後の訪問診療は、看護師さんと二人で軽自動車で回ります。

青木と周ることが多いですが、先月から入職してくれたナースマンの竹内さんが訪問同行することも増えました!

運転は、私自身でしています。理由としては、普段から自分自身で運転することで患者さん宅の地理・ルートや駐車場所を把握しておくと、いざ夜間の緊急訪問時にスムーズにお伺いできるからです。あとは、運転そのものが好きなのもありますが。

この日は、気温30度に迫る暑い日でした。今週末あたりからは猛暑日になるらしいですね…。

例年、真夏の訪問は過酷です。運転手さんを雇っていない弊害で、車に乗るたびに灼熱サウナになってしまうのです。クーラーボックスに、飲み物・塩分補給のためのカリカリ梅・汗拭きシートなど準備し、暑い日は午後の訪問中だけで1.5Lほど水分を摂ることもあります。汗びっしょり。でも、汗臭い先生が家に来たら嫌ですよね(笑)。私なら嫌なので、時間があればコンビニに寄らせていただいて買い物がてらお手洗いを借り、汗をひかせたあと汗拭きシートで全身拭いて、制汗スプレーして、、あまりに汗がひどいときは車の中で着替えたりしています。

しかし、訪問看護・訪問介護などのおしごとをされている皆さまは、もっともっと大変なんですよ!!嵐の中でも雨がっぱひとつで飛び回っておられます…本当に頭が上がりません。。

さて。最初は、先ほど臨時往診希望連絡のあった患者さんのお宅へ(午前編参照)。

お部屋の中が、かなり蒸し暑くなっていました。診察したところ、やはり脱水所見がありました。幸い食事は摂れており、症状もそこまで強くなかったので、冷房を適切に利用して室温・体温を下げることと、水分摂取を心がけることを指導しました。念のため採血をとって、脱水や腎障害などないかチェックしました(⇒翌日、高度脱水が判明したため点滴対応開始とし、幸い今はお元気になられました)。

ご高齢になると、のどが渇きにくくなったり、暑さをかんじにくくなったりするため、脱水症・熱中症の危険性が高まります。また、中にはトイレが近くなるのが嫌だからと、敢えて水分を摂らないようにしてしまう方もいらっしゃいます。

私が良くお勧めしていることとしては…

・トイレに立ったら、手を洗ったあと必ずコップ一杯水を飲む。ルールを決めて、のどが渇かなくても飲む機会を作ることが大切!

・体感温度がそこまで暑くなくとも、室温計を設置し、28℃を超えてきたら弱めで良いので冷房をつけること。今の冷房は良くできているので、24時間つけっぱなしでも大丈夫。昔と違って今の東京は酷暑ですから、扇風機やうちわだけで暑さをしのぐことは難しいです!

最近はニュースでも流れるのでご存じの方も多いかもしれませんが、熱中症搬送されるケースは、実は屋外より屋内の方が多いんですよ。暑い夏が目前に迫っていますので、皆様も気を付けて下さいね。

午後は、基本13時~18時まで、前もって予定している訪問診療患者さんのお宅をぐるぐる回ります。この日は11名ほど回りました。十人十色、様々なケースがあります。独居の方、ご家族と同居の方、施設にいる方、ご夫婦で診察受けておられる方。背景も皆それぞれです。

診察時は、まずはお話しから始めます。最近の変化や、気になっていることなど、お身体の変調だけでなく生活での変化や困っていることなども聞いていきます。一見無駄に見えるかもしれませんが、私は診察時は常に雑談半分を心がけています。医療面のお話しに終始してしまうと、医者側からの一問一答形式になりがちで、本当は困っていることがあってもなかなか患者さん側から言い出しづらくなってしまい、その結果気づかなければいけなかったことを見落としてしまう可能性があるからです。色んなお話しをする中で、もし生活・介護面でのトラブルが見え隠れした際は、診察後にケアマネージャーさんや訪問看護師さんなどへ共有し、改善を図ったりもしています。

聴診や触診・視診などの診察と、体温・血圧・脈拍・SpO2(酸素飽和度)などチェックしていきます。必要あれば採血・採尿・心電図なども行います。もし診察のうえで点滴など必要になった場合は、訪問看護さんと契約済みの方であれば点滴指示書等を発行し、ご自宅で点滴処置ができる環境を整えます。また、精査や入院などが必要な場合には、即日診療情報提供書(紹介状)を発行し、受診先選定までお手伝いしています。なお、当院入院病床で対応可能なケースであれば、即日入院も承っております。

~17時00分 初回訪問診療~

この日、初めましての患者さんのお宅にも伺いました。午前中に大学病院から退院してきたところでした。この先の療養・医療について、ご本人ご家族とお話しをしました。ご本人からは、病気について・介護を行う家族に対して・今後の治療についてなど、複雑な想いをまずは傾聴し、ご家族様からは、今後の介護に対しての不安や実際の療養に向けての準備状況などうかがいつつ、医療・介護それぞれの側面での問題点・課題などを洗い出したうえで、一つ一つ解決策を提案していきます。

この方は癌に伴う痛みが強く吐き気やめまいもあり、食事量も少ない状況であったため、まずは麻薬を含めた痛み止めの処方調整を行い、定期的な点滴ができるよう訪問看護ステーションさんに依頼をかけました。介護環境についてもケアマネージャーさんと相談し、ポータブルトイレの設置や介護ヘルパーさんの増回、訪問入浴介入などご対応いただき、ご本人の安楽な療養とご家族の介護負担軽減を図りました。

初診の患者さんの診察は、いつもおおよそ1時間ほどかかります。あまり長丁場になってしまってご本人が疲れてしまわないように注意をしながらも、早期に良い自宅環境を整えるお手伝いをしたいため、初回はできる限り細やかな状態把握を心がけています。

~18時00分 帰院~

さて、これで1日の業務は一旦終了です。

日中に行った採血検査の検体を、検査会社さんにお渡しします。

少し火照った頭を冷やしつつ、小休止。疲労がひどいときは10分くらい仮眠をとることもあります。

ここからは、デスクワーク。いつか、座り褥瘡ができそう。

  • 訪問診療で伺った患者さんのカルテ記載;私は基本診察中にPC打ち込みをしません。というより、不器用なもんで、お話ししながらPCを打つことができないんです。なので、診療所に戻ってきてから、全員分のカルテを一気に仕上げます。カルテには、診療内容だけでなく、その日の雑談内容などもかいつまんで残したりします。記憶力落ちたらできなくなる…

  • MCS(Medical Care Station)の記載;訪問診療の患者さんには、ケアマネージャー・訪問看護ステーション・訪問介護・訪問薬局・福祉用具・デイサービスなどの施設・訪問入浴などなど、様々な介護支援事業所が関わっておられます。診療の中で得た医療・介護情報や、指導した内容、診療・処方の内容などを、すぐに他事業者さんに共有しておくことで、ご本人の安全な療養に繋がることが多いです。私は元々練馬区で長らく訪問診療に携わっていたため、練馬区で活発に使用されていたMCSというツールをよく利用しています。患者さんごとのスレッドを立てて、そこに上記のような様々な事業所の皆さんが参加され、そこに情報をUPすることで皆で共有できるようになっています。ちなみに杉並区ではバイタルリンクというツールが良く利用されているようですので、今後そちらの使用も検討しています。…カルテとMCS、2回入力するので、2倍時間がかかります…。。

  • 新規訪問診療の患者さんの各種書類作成;いただいた紹介状への返書、ケアマネージャーさん宛ての居宅療養管理指導書、訪問看護ステーション宛ての訪看指示書、必要あれば特別訪問看護指示書や点滴指示書、訪問薬局宛ての訪問薬剤管理指導指示書、訪問診療患者様宛の在宅療養計画書など。いやまぁ、書類地獄。ここで書ききれなかったものは、翌日外来中にのしかかってきます。なので、できる限り回さないためについ残業しちゃって、気づくと夜10時を過ぎていたり…。

また、これらの仕事終わってから、Webで勉強会があったり、医師会の会合があったりと、たまに対外的なこともあります。

一通り仕事が終わったら、念願の帰宅。

夜間は、病床と訪問診療の患者さんからの緊急依頼があれば出動となります。ので、大好きなお酒は、開業してからあまり飲めていません。なのに、なぜか痩せないのは、なぜでしょう…永遠の謎。

家に帰ったら、まずは愛鳥ぺこの放鳥から。日中独りぼっちなので、ストレスいっぱい大騒ぎ。感極まって、よく噛まれます。。いつもそのまま風呂に一緒に入っています。風呂場が温かいからなのか、パブロフの犬ばりに風呂場に入るとガチ寝しています。そういうところは、可愛いんですが。噛まなきゃいいのに。

この日は、その後、夜の緊急訪問依頼はありませんでした。

実は、今月からたま~に、夜間帯の緊急対応をお任せする先生を頼んでいくことにしています。でも、いきなり知らない先生が対応になると不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。なので、必ず私と青木は電話対応できる体制を整え、実動する先生と連絡を取りながら診療に当たります!

だいたい、1日の流れは、こんな感じです!

相変わらず長い。文章を短くまとめる能力が欲しい。。

なんだか、文章だけ読むとすごく仕事人間みたいな感じになっちゃってますが、なんだかんだ日々楽しんでいます。私が煮詰まってしまって、もし笑顔でいられなくなってしまったら、患者さんたちに元気をお裾分けできませんからね!そのくらいしか取り柄ないので!笑

では、今回はこのあたりで。

繰り返しになりますが、猛暑が迫っていますので、適切な水分摂取と室温管理をお願いします!!